今回は、10月末に報じられた、島根県の多頭飼育崩壊のニュースについて解説していきます。
何があったの?
島根県の一般家庭で、8畳2間の平屋の中に、犬163頭が飼育されていました。
自然繁殖を繰り返して頭数が増え、飼い主が管理しきれなくなり、保護団体に連絡があり発覚しました。
近隣住民から、においや騒音の苦情もあり、県の立ち入り調査の要望も出ていました。
繁殖業者ではなく、一般家庭の飼育崩壊では、過去最大規模だと言われています。
原因は?
今回は、避妊・去勢手術をしなかったことが原因で起きた問題です。
犬は、体格にもよりますが、一度の出産で3~12頭、多くて20頭前後仔犬を産みます。
メスは年に2回繁殖期が来るので、多ければ1年間に40頭前後、仔犬を産む可能性があります。
犬には『同期複妊娠』と言う習性があり、一回の繁殖期に複数回交尾して、繁殖率を上げる動物です。
「仔犬がこんなに生まれるなんて知らなかった。」という理由で飼育放棄するケースは、実はよくあることなんです。
今回の飼い主も、始めは捨て犬数頭を庭で飼っていたところ、1頭のメスが妊娠したのが始まりだったそうです。
生まれた仔犬たちも皆自分で飼ううちに、避妊・去勢が追い付かなくなり、頭数が増え、家の中で飼うようになったと言っています。
避妊・去勢をせずに、家の中でも放し飼いにしていたため、どんどん繁殖し、163頭まで増えてしまったということです。
どうすれば防げた?
今回は、始めに捨て犬を拾った時点で、避妊・去勢していれば防げた問題でした。
犬は、避妊・去勢せずに雄雌で飼育していたら、発情期には高い確率で繁殖が成功します。
事前に犬の繁殖についての知識があれば、避妊・去勢をしていたかもしれません。
犬に限らず、動物の正しい知識を持ったうえで飼い始めることは、とっても大切なことです。
また、多頭飼育崩壊は、原因によっていくつかのタイプに分けられます。
今回は『アニマルホーダー型』というタイプだと考えられます。
アニマルホーダー型の飼い主は、動物が好きだからこそ、引き取り手がいない動物、捨てられた動物を保護して、手放せなくなってしまいます。
生まれた仔犬も手放せなくなってしまい、飼育困難に陥ってしまう状態に当てはまります。
今回の飼い主も、飼育放棄や虐待をしていたわけではなく、犬達の病気の治療もしており、163頭の犬達も人懐っこい子が多いようです。
動物を手放せなくなってしまうからこそ、海外の動物福祉先進国のように、繁殖業者以外の一般家庭は、法律で避妊・去勢必須にすることも有効だと考えられます。
今、日本でも討論中の『各種数値規制』でも、母犬の出産回数制限などの規制が検討されています。
今回同様のケースを防げるような、有効な規制が作られることを願います。
またアニマルホーダー型の飼い主は、飼い主の精神状態に起因して、過剰な多頭飼育を招いている場合があります。
その場合は、飼い主の精神状態、生活の立て直しも考えて、対処をしないと、再発してしまうケースがとても多いです。
福祉専門職(社会福祉士、 精神保健福祉士など)と協力して、動物と飼い主両方のケアをすることが、実はとても大切なんです。
福祉専門職とも連携できる、飼育崩壊が起きた場合のマニュアルが明確化されるといいのではないかと思います。
プラム的まとめ
出産後の犬の健康管理や、仔犬の引き取り手探し、引き取り手がいなかった場合の多頭飼育の難しさも考慮して、一般家庭での繁殖はおすすめしません。
多頭飼育は、しつけもとっても難しいです。
犬の身体への負担、ストレスのことも考えて、繁殖させないと決めて、早めに避妊・去勢することをおすすめします!!
もし多頭飼育や犬の繁殖に興味がある方は、ぜひ一度ラインで相談してみてください。
犬の健康・終生飼育のためにも、正しい知識をつけて、楽しいドッグライフにしましょう!
参考資料
プレスリリース 島根県出雲市多頭飼育崩壊(救済)②
猫の多頭飼育!崩壊を防ぐ活動
平成25年度動物の虐待事例等調査報告書 (4)参考
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